調剤薬局事務の具体的な仕事内容と難しく感じるポイントを、経験者がご紹介!調剤薬局事務の仕事が、自分に向いているかもわかりますよ。
調剤薬局事務の仕事内容
調剤薬局事務の仕事内容は、主に下記です。
- 受付対応業務
- 入力業務
- レセプト業務
- 薬剤師のサポート業務
では、各業務の具体的な仕事内容を順番にご紹介していきましょう。
受付対応業務
受付で患者さんから、処方せん・お薬手帳・薬局によっては保険証を受け取り、処方せんコピーを薬剤師に渡します。保険証は、薬局によって確認するところとそうでないところがあるので、必ずしも保険証を受け取るわけではありません。私が勤めていた薬局では、変更時のみ確認していました。
今は、マイナンバーカードやレセコン(調剤会計を行うレセプトコンピューター)で保険の資格確認ができるようになりました。そのため、保険証を確認しなくとも、ほぼ正しい情報を得られるのです。
入力業務
レセコンで処方せん内容の入力や加算できる点数の算定、備考欄への入力をしていき、仮の患者負担金を計算します。患者負担金は、薬剤師がお薬を患者さんへ渡しながら話を聞き、指導料算定や仮入力の加算点数を確認してから決まる流れです。
事務の入力はあくまで仮入力で、領収証と明細書は薬剤師が出力します。そのあとのレジ会計は事務が行うところが多いですが、私が勤めていた薬局では薬剤師が行うところもありました。そのため、必ずしも事務が行う業務ではないと言えます。
レセプト業務
レセプトとは、社会保険や国民健康保険などの保険者に、調剤報酬を請求する業務のことです。事務の仕事内容で、一番大切な業務となります。患者さんから保険適用分の負担金をいただき、残りの報酬を保険者に請求します。
作業としては、レセコンでレセプトチェックを自動で行い、調剤報酬明細書のデータをUSBに保存。専用サイトから保存したデータを、オンラインで提出して終了です。この作業自体は、それほど難しくありません。
このほかにも、下記の業務があります。
- 労災
- 自賠責の事故
- 介護
- 保険請求が間違っていたときに戻ってくる返戻。該当患者がいれば別途請求が必要。
レセプト前の準備業務としては、生活保護者の調剤券と介護券の請求業務があります。生活保護者は保険証を持っていないので、保険証代わりとなる調剤券と介護保険使用者の介護券が必要になるのです。
薬剤師のサポート業務
具体的なサポート業務は、以下の通りです。
- 処方せんを見ながら医薬品を取りそろえるピッキング
- 伝票入力
- 調剤医薬品の受取棚入れ
- 薬局によっては、調剤医薬品の発注など
サポートと言えばピッキングが主で、事務が携わっている薬局は増えています。
調剤医薬品の発注は、薬局によって事務業務の場合もありますが、21年以上薬局に勤めた私は一度もしたことがありません。どの薬を誰にどれだけ使うか把握しているのは薬剤師なので、事務が発注するところは少ないと思います。
また、在宅訪問を行っている薬局では、薬剤師に同行し配薬を手伝うこともあるでしょう。上記のほかに、処方せん入力が正しくできているか再度確認する業務があります。
OTC医薬品(ドラッグストアなどで処方せんなしで購入できる医薬品)を扱っている薬局では、事務が発注管理業務を担うところが多いです。
調剤薬局事務の難しく感じるポイント
調剤事務は、特に資格や経験がない未経験の人でもできる仕事です。
パソコンスキルは、文字を打てたらいい程度。ほとんどのレセコンが、カタカナ三文字入力すれば候補となるお薬が表示されます。パソコンスキルが不安な人や、未経験の人でも心配することはないでしょう。
ただ、難しく感じるポイントはあります。どんなことが難しいのか、詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
保険証の知識
保険証と言っても、一般的に知られている社会保険と国民健康保険のほかに、国や自治体が助成する医療公費があります。その公費をどのような条件で持っているのか、いつまでの期限なのかを把握しておかなければいけません。資格取得や資格喪失、期限切れで正しい保険請求が行えないからです。
また、高齢者になると年齢を境に保険番号や負担金も変わるので注意が必要です。
加算条件の知識
入力は、処方せん通りにだけすればいいわけではありません。調剤報酬点数で定められた加算点数があり、条件を満たせば算定が可能になります。
算定要件を覚え、算定の漏れがないようにしなければいけません。今は自動で算定してくれるレセコンもありますが、きちんと理解していないと、患者さんに質問されたときに説明ができないと困ります。
お薬の知識
入力を続けていれば、門前の病院や医院がよく処方するお薬の名前や薬効は覚えられますが、とにかく種類が多いです。薬効は違うのに類似する薬品名があったり、入力もピッキングも慎重に行う必要があります。
未経験であれば、病院や医院、近隣薬局から薬の問い合わせがあった場合、薬品名を聞き取ることも大変です。
しかし、毎日お薬に触れていれば、自然と薬品名も薬効も覚えられるので安心してください。
ピッキング業務を行っていれば、薬の色や大きさを一目見ただけで、何の薬かもわかるようになりますよ。
調剤薬局事務に向いている人
調剤薬局の調剤業務は、薬剤師と連携して行うためのチームワークとコミュニケーション能力が必須。周りと連携せず、一人で黙々と作業する人よりも、明るく周りとコミュニケーションを取りながら働ける人が向いています。
また、患者さんとの接客業務もあり、保険証やお薬のこと、雑談など患者さんと話す機会がたくさんあります。そのため、伝えたいことをわかりやすく説明できて、患者さんの話すことを理解できることが大切です。人と関わることが苦手な人は、不向きでしょう。
まとめ
ここまで読んで、調剤薬局事務は難しい仕事に感じるかもしれませんが、そんなことはありません。するべき業務が決まっており、業務量も多くなく、慣れれば働きやすい職業だと思います。
しかし、薬剤師が薬に詳しいように、事務として保険の知識と加算点数の知識は基本のため勉強は必要です。それに加え、業務を続けていくと慣れて自然と覚えていけることも増え、問題なく働けるようになります。
また、調剤薬局事務の仕事は、ずっと座りっぱなしではなく、ずっと立ち仕事でもない。患者さんとの接客業もあり、バランスのいい職業だとも感じます。
ただ、一般企業の事務と違ってシフトで勤務しているため、自分がいなければその日の業務が成り立ちません。薬剤師が入力できる場合もありますが、薬剤師もシフト出勤で人数は決まっています。
調剤薬局事務の仕事は、知識とコミュニケーションのほかに、健康で元気に働ける体の健康管理も大切な仕事のひとつと言えるでしょう。
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