免疫力を高める栄養素|特に欠かせないのはビタミンDと亜鉛!

医療

免疫力を高めると言われる栄養素。その中のビタミンDと亜鉛は、免疫を調整して維持するため、免疫力を高める大きな役割を持つ成分と言われています。

免疫に欠かせないふたつの成分。欧米では科学的な根拠が豊富ですでに広く知られており、最近日本でも知られるようになりました。

この記事では、ビタミンDと亜鉛と一緒に「免疫とはなにか」についても解説します。

免疫力とビタミンD

免疫力を高めるのに効果的と言われているビタミンは、ビタミンA・B・C・E・Dなどさまざまな種類があり、その中で特に注目されているのがビタミンDです。

ビタミンDは、抗菌ペプチドであるカテリジンとデイフェンシンという物質の量を増やす作用や、免疫調節の役割を担っていることが分かっています。

カテリジンは、細菌やウイルスを殺すたんぱく質である抗菌ペプチドを作らせる働きがある物質です。ディフェンシンという抗菌ペプチドを皮膚上につくらせ、バリア機能を高めています。

ビタミンDは、紫外線を浴びることでも合成できますし、食べ物からも摂取ができて補えるものです。もともと日本人は、食事からの摂取が少ないうえに紫外線を浴びにくい環境が整っていることで、不足しがちと言えるビタミンなのです。

成人男性と女性のビタミンDの一日摂取基準は、目安量が8.5㎍で耐用上限量100㎍と言われています。 食事から摂取できるように、ビタミンDが多く含まれる食品を積極的に摂るように心がけましょう。

参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

ビタミンDが多く含まれる食品

ビタミンDが多く含まれる食品は、魚類・きのこ類・卵などです。

種類食品成分量(100gあたり)
魚類焼鮭31.0㎍
生のさんま16.0㎍
生のブリ8.0㎍
生のかじきまぐろ38.0㎍
生のにしん22.0㎍
太刀魚14.0㎍
生のあんこうきもの111.0㎍
きのこ類乾燥しいたけ17.0㎍
乾燥きくらげ85.0㎍
エリンギ1.2㎍
生卵3.8㎍
参照:文部科学省 食品成分データベース

ビタミンDの吸収を高めるために、きのこ類は炒め物や揚げ物などの油を使った料理にすると吸収率をアップできます。しいたけは紫外線に当たるとビタミンDが増えるため、天日干しにするといいでしょう。

魚類が好きでない人は、サプリメントなどを利用し、積極的に摂取することをおすすめします。

免疫力と亜鉛

必須ミネラルの一種であり、免疫機能維持に重要な役割を果たしているのが亜鉛です。

亜鉛不足が抗体の産生減少や免疫力を強化するインターフェロン、インターロイキンなどのサイトカインの産生減少などにつながり、免疫力低下を引き起こすことがわかっています。

サイトカインは、主に免疫細胞から分泌される低分子のタンパク質で、細胞間の情報伝達の役割を担っています。

亜鉛不足の原因はさまざまですが、特に動物性たんぱく質をとらない菜食主義者や食事量が減っている高齢者、または亜鉛の需要が増える妊婦などは、亜鉛不足に注意が必要です。

亜鉛の推奨量

下記が、亜鉛の推奨量と健康被害の可能性が生じる基準となる耐用上限量です。

  • 推奨量
    男性:18~74歳11mg、75歳以上は10mg
    女性:18歳以上8mg(妊婦10mg)
  • 耐用上限量
    男性:40mg~45mg
    女性:30mg~35mg

参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

サプリメントや医薬品でも亜鉛を摂る場合は、過剰にならないように注意しましょう。

亜鉛の吸収を低下させる成分

一緒に摂取すると亜鉛の吸収を低下させる成分は、以下となります。

  • 種子、米ぬかや小麦などの穀類や豆類などの植物由来の食品に多く含まれるフィチン酸
  • カルシウム、乳製品(食品に含まれるカルシウム)
  • 食物繊維
  • コーヒー(タンニンを含む)
  • オレンジジュース
  • アルコール

亜鉛の吸収を低下させる理由として、亜鉛は食物から摂取され、主として十二指腸、空腸で吸収されるためです。

亜鉛の吸収を促進する成分

逆に、肉類や魚類に多く含まれる動物性たんぱく質は、亜鉛の吸収を促進する成分です。動物性たんぱく質は、以下を参考にしてください。

  • ヒスチジン
  • グルタミンなどのアミノ酸9
  • クエン酸
  • ビタミンC

亜鉛が多く含まれる食品は、下記の通りです。

  • 肉類(牛肉豚肉)
  • 牡蠣やカニなどの魚介類
  • 豆類・ナッツ類
  • 乳製品

種類食品成分量(100gあたり)
肉類牛肉赤生肉5.7mg
豚肉赤生肉3.2mg
魚介類生牡蠣14.0mg
牡蠣フライ12.0m
生カニ、ゆでカニ2.6~3.8
豆類油揚げ2.5mg
納豆1.9mg
きなこ4.1mg
ナッツ類アーモンド3.6mg
カシューナッツ5.4mg
乳製品ナチュラルチーズ4.6mg
参照:文部科学省 食品成分データベース

豆類とナッツ類は、亜鉛の吸収を低下させるフィチン酸が含まれていますが、心配ありません。豆類は発酵の中でフィチン酸が失われ、ナッツ類は6~12時間水につけることによってフィチン酸が中和されるためです。

免疫力を高める「免疫」とは

免疫とは「自分=自己」と「自分でないもの=非自己」を識別して攻撃し「非自己」を排除することで「自己」を守るためのシステムです。「自己」とは、自分の正常細胞や臓器などをいい「非自己」は、外部からの細菌やウイルスなどの病原体をいいます。

免疫は、病原体ではないほかの異物に対しても働くことがあり、病気を起こしてしまうこともあります。アレルギーは、ダニや花粉、食物などの異物への過剰な免疫反応が原因。また、自己免疫疾患は正常細胞が異物として認識されることで自己組織を攻撃し、障害などが起こることが原因です。

免疫には大きく分けて「自然免疫」と「獲得免疫」の二種類があり「獲得免疫」は活躍する細胞の種類や作用の仕方によって「細胞性免疫」と「液性免疫」に分けられます。

自然免疫

自然免疫とは、生まれつき人間の体に備わっている免疫です。侵入してきた病原体や異常になった自己細胞に、速やかに反応する特徴があります。

働く細胞は、主に好中球・マクロファージ・樹状細胞といった食細胞です。これらは異物を取り込んで分解する役割を持っています。受容体を介して侵入してきた病原体や異常になった自己細胞を、いち早く感知し排除する役割を担っています。

特にマクロファージは、自然免疫の中心的な役割を担っており、体の中に入ってきた細菌やウイルスなどを死滅させるはたらきをする細菌です。他にも傷の修復を助けたり、新陳代謝の調節に欠かせない働きもあります。

自然免疫の病原体を排除する方法

  • 抗菌ペプチド・リゾチーム・レクチン・補体といった抗菌分子が、直接病原体を攻撃し、病原体を処理する方法。
  • 食細胞が、病原体を取り込み処理する方法。レクチン・補体などは、病原体に結合することにより、取り込む作用を促進させます。

獲得免疫

獲得免疫とは、一度体内に侵入した異物を記憶し、二度目以降に反応する後天的な免疫です。感染して病原体を特異的に見分け、それを記憶することで同じ病原体に出会ったときに、効果的に病原体を排除する特徴があります。ただ、自然免疫と比較して応答まで時間が必要で数日かかります。

働く細胞は、主にT細胞やB細胞などのリンパ球です。T細胞は、抗体を作るよう指令を出し、B細胞は抗体を作ります。

獲得免疫の病原体を排除する方法  

  • 細胞性免疫
    局所的に起こる免疫反応で細胞障害性T細胞やマクロファージが、直接異物である細胞を攻撃する方法。
  • 液性免疫
    異物に対抗する免疫反応で、抗体の産生に関わるB細胞と抗体が主に働く方法。

細胞障害性T細胞は、ウイルスに感染した細胞やがん細胞などを攻撃する細胞性免疫の主役です。

まとめ

大半のビタミンやミネラルは、体内で合成できないため食事から摂取する必要がありますが、ビタミンDは紫外線を浴びることで合成できます。食事だけでなく、散歩や運動などで適度に日光に当たるように心がけることが大切です。

免疫力を高めるため、特に欠かせないビタミンDと亜鉛。食生活の見直しや食事のかたよりに応じて、サプリメントも有効活用しながら免疫力を高めていきましょう。

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